犬を初めて飼う方へ_第11話/老犬介護と病気の子の看護の現実(2/2)

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動物保護施設から犬・猫の里親になろう!:犬を初めて飼う方へ11は老犬介護と病気の子の看護の現実(2/2)についてです


-5) 「排尿・排便のコントロール」について

老犬になると自力でなかなか排便ができなくなるため、飼い主さんはおしりを揉み排便の介助をする
ような機会も増えることでしょう。排尿に関しても、ゆくゆくは圧迫排尿や尿道カテーテルを自宅で
飼い主さんが行ってあげる必要も出てくるかもしれません。

特に、痴呆に伴う徘徊が始まった場合は、家の中のそこら中でおしっこ・うんちをしてしまうかもしれません。
おしっこに関しては「おむつをすれば良いのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、老犬は消化器の
衰えや薬の投薬などの影響で下痢をしやすくなっています。そのため、気づかない間にオムツの中に
うんち(下痢)をしてしまい、かえって下半身を汚してしまう可能性もあります。
(犬種によってはオムツ自体を嫌い、自分で剥いでしまう子もいます)

そして、特に中・大型犬が排尿・排便のコントロールができなくなると、あなたのお気に入りの家具を
(意図せず)汚してしまうかもしれませんし、床や壁の掃除、犬の寝床やカーペットの洗濯回数も増えるため、
匂いとその処理に飼い主さんは日々頭を悩ませることになります。


-6) 「ストレッチと褥瘡ケア」について

A)ストレッチについて

寝たきりの状態が多くなった子をそのまま放っておくと拘縮(こうしゅく)という状態を引き起こすため、
「関節の可動域の低下」や「筋肉の収縮」、「骨密度の低下」などが進行し老化を一層加速させて
しまいますので、人間と同様にストレッチを行ってあげる必要があります。


B)褥瘡(床ずれ)ケア

※ 褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、
  皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。
 ● 日本褥瘡学会】より ペットのお薦めコラム

褥瘡を放置すると生命にかかわる程危険な状態に陥りますので、寝たきりの状態が多くなった子には寝床を
清潔に保つ以外にも、体位変換(寝返り)を行ってあげる必要があります。
特に大型犬は体重があるため床ずれになり易く、人間同様のケアが必要となります。従って、寝返りのコツを
つかむまでは飼い主さんは体力も必要となります。

なお、床ずれ防止マットはあくまで補助なので、敷いているからといって褥瘡ができない訳ではありません。
従って体位変換自体は日々行ってあげることが望ましいでしょう。
もちろん、褥瘡ができてしまった際には患部へ治療やケアも日々必要になります。

繰り返しとなりますが、愛犬が大往生で亡くなる事はレアなケースです。1日単位での体調の差はあるものの、
要介護となった際は右肩下がりで衰えていく体調のケアを、愛犬が亡くなるまで続けなくてはなりません。
それは3ヶ月かもしませんし、1年以上続くかもしれません。




2.病気の看護について

犬は自分に罹患する病気を選べません。犬種特有の病気以外では「癌」
「腎臓病」「心臓病」が犬の3大病とされていますが、実際に看護されている
飼い主さんのほとんどは、病気が1種類だけでなく、それ以外にも「てんかん」
や「前庭疾患」と脳に関わる病気から、腫瘍・自己免疫疾患・ホルモン関連
といくつかの病気を併発した経験をされていることでしょう。

そして、上記に挙げた病気は一生付き合う症状の方が多いため、飼い主さん
は薬の投与や体調管理を毎日行う必要が発生し、そのコントロールに神経を
使うこととなるでしょう。
(もちろん老犬介護と同様、病気の子は粗相をしてしまうかもしれませんので、寝床のケアも日々必要です)

また、昨今は犬や猫に多く見られる「腎不全」となった場合、飼い主さんの来院負担やそれに伴う
ペットの体力の低下を避けるため、飼い主さん自身の手で自宅にて皮下点滴を推奨する動物病院
も多くなっています。
つまり、飼い主さんの病気に対する知識や理解・努力によって愛犬・愛猫の健康が左右される場面が
増えているとも言えるでしょう。



3.ペットの介護疲れについて

ペットの高齢化が進むにつれ、老犬介護と病気の看護について多くの方が悩まれていることが昨今浮き彫り
となりました。病気の看護とは先述の通り、飼い主さんへの肉体的・精神的な負担だけに留まりません。
介護用品の購入や、薬・治療の費用で発生する経済的負担。プライベートや仕事の時間に与える時間的
負担と、様々な要素が介護疲れの要因となり、どれか1つが解決できたとしても根本的な解決とはならない
でしょう。
(犬の介護や看病が特別大変だという風潮がありますが、猫やその他のペットを飼った際も大小こそあれ、
 通常は同様にその負担がかかるうえ、避けられないということを忘れないでください )

もちろん飼い主さん自身が参ってしまっては元も子もありません。今は老犬・老猫の介護サービスを
謳うペットシッターサービスもあれば、老犬ホームのサービスもありますので、状況によっては検討すべき
手段の一つとも言えるでしょう。

そして最も恐ろしいのが、介護や看病を経て来るべき日を迎えた後、「気持ちや体の整理をしよう」と
思ったその瞬間に「ペットロス」という最恐の病が襲い掛かってくるかもしれないということです。




4.命を看取るということ

ペットを飼うということは「命を知り、命と向き合い責任を果たす」ということは言うまでもありません。
そして、老犬介護や病気の看病で行ってはならない最も下劣な行為は「病気の面倒を看るのが面倒で
犬や猫を捨てること」や「自身の責任を放棄して保健所に殺処分を依頼すること」です。
ところが残念なことに、この下劣な行為は日常的に起きてしまっているのが現実です。
(飼い主さんが長きに渡りケアをし続け、その子にできる処置が無くなってしまった際に選択する
 「安楽死」とは真逆の行為です)

 ● 【「安楽死」と「殺処分」について】 ペットのお薦めコラム

可愛い盛りの時には愛犬・愛猫アピールを散々したにも関わらず、介護が面倒になると平気で遺棄する
非道な人間は後を絶ちません。
とかく日本人は「権利」を主張したがる傾向にありますが、一方で、同様に重視すべき「責任」や「義務」は
ないがしろにされてしまっています。

ペットを飼う権利は誰にでもあります。

しかし飼うからにはその「責任」や「義務」を全うする必要があります。そして、ペットを飼ううえでの責任とは
「飼い主が最後まで責任をもって飼う事・看取る事」だということを忘れてはいけません。
この章で再三申し上げておりますが、これから犬を飼う予定の方は、10年後に訪れるこれだけ大変な状況を
やり遂げ、看取る覚悟はありますか?

犬からもらった幸せを返してあげられる最後の手段は、責任をもって飼い主さんが最期を看取ってあげる
以外の何物でもないことを覚えておいて欲しいと思います。



 動物保護施設から犬・猫を引きとろう! >犬を初めて飼う方へ_第12話(最終回)
犬の病気の話とペットのお役立ち情報 犬や猫を今は飼わないという優しい選択 へ続きます>>




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